不正咬合の原因③(後天的原因:口腔習癖等)
先天的原因:出生前から存在する原因
後天的原因:出生後に現れてくる原因
不正咬合の後天的原因の内、口腔習癖について勉強していきます
口腔習癖
指吸いや舌癖などの口腔習癖は、顎骨の成長や歯の萌出に悪影響を及ぼし、不正咬合を誘発する。さらに歯の移動の妨げになったり、予後の安定性を多く損なうことになるため適切な対応が必要になる。
吸指癖(指吸い)
指吸いは、ほとんどが親指の指吸いです。乳児の指吸いであれば気にすることはあまりないですが、5歳位からは注意が必要です。親指を吸うことで口腔内に陰圧がかかり、上顎歯列が狭窄したり、上顎前歯の唇側傾斜、開咬等、様々な不正咬合が発生します。
弄唇癖ろうしんへき
咬唇癖や吸唇癖などがあり、下唇を噛んだり吸ったりする癖が多い
写真の患者さんのように、下唇を噛くむことで上顎前歯は唇側傾斜、下顎前歯は舌側に傾斜して、ひどい場合は骨格性の重篤な上顎前突症(出っ歯)なります。矯正治療を考えられていない場合でも「唇噛んだらダメだよ」と注意してあげてください。
弄舌癖ろうぜつへき
弄舌癖の中で一番多いのは舌突出癖です
唾液を飲み込むたびに、舌で前歯をおす舌突出癖は一番見かけることが多い口腔習癖で、写真の患者さんのように舌で押され続ける前歯が唇側傾斜し、開咬や空隙歯列になります
口呼吸
扁桃腺の肥大や鼻炎などにより、鼻呼吸ができなくなると、なんとか酸素を取り込もうと口呼吸になります。日中、口をぽかんと開けている人は口呼吸の可能性がたかいです
咽頭扁桃の増殖肥大
飯田順一郎 他.『歯科矯正学 第6版』.医師薬出版株式会社.2019年,114P
口呼吸が長時間継続すると、口唇平素不全、上顎歯列の狭窄や前歯の唇側傾斜、下顎が時計回りに回転したアデノイド様顔貌を呈します。
口呼吸によりアデノイド様顔貌と狭窄歯列
態癖
口腔内ではありませんが、普段の態癖も実は顎の成長に悪影響を及ぼす可能性があります
代表的なのが頬杖です
頬杖ごときで・・・と思われるかもしれませんが、人間の頭の重さはボーリングの玉ほどあります、かたや歯列を並べるために使用するワイヤーによって歯にかかる力はせいぜい100gほど、上顎の成長を止めるために使用するデッドギアであっても500gほどです、一方頬杖をすることによって何kgもの力が顎にかかります。片方にだけその力がかかったら・・・考えただけでも恐ろしいですよね?
この患者さんは、授業中に右手で頬杖をつく癖があり、顎骨の非対称を招いた患者さんです。
このように癖、つまり毎日繰り返し加わる力というのは恐ろしいほど顎骨の成長や歯の成長に影響を及ばしいます。的確な診断によってその原因を早期に除去するだけでも、改善することもあります。
もしかして私も、うちの子供も・・・と思われる方が一度お気軽にご相談ください。