マルチブラケット装置
本日はワイヤー矯正で使用するマルチブラケット装置について説明します。マルチブラケット装置の分類は器械式矯正装置の中の固定式矯正装置に分類されます。多数の歯にブラケットを装着して、ワイヤーを介して歯の三次的な移動を行うことができるとても便利な装置です。
基本構成・種類
歯面に装着されたブラケットとアーチワイヤー、ブラケットにアーチワイヤーを固定する結紮線とで構成されます。また最後方臼歯はチューブになっています。
また現在は結紮線でふたをする必要のないシャッタータイプのセルフライゲーションブラケットや舌側矯正のリンガルブラケット、歯の色と同調したホワイトワイヤーや審美ブラケットがあり、患者さんも術者も材料改良の恩恵を受けています。
作用機序
ワイヤーを挿入する長方形の溝(ブラケットスロット)に最終的に断面が長方形のワイヤー(rectangular wire)を使用し、歯の三次元的移動を行い、理想的な歯列と咬合を完成させます。ほぼ全ての症例に叢生(ガタガタ)やローテーション(捻転)等があり、治療の初期に硬くて太いワイヤーは入らないとめ、細くて柔らかいワイヤーを使用して、持続的な矯正力を作用させ歯を徐々に動かしていきます。
図のように様々なサイズのワイヤーがあり、細くて柔らかいワイヤーから太くて(長方形の断面)硬いワイヤーに交換していきます。材質も治療の初期は超弾性を有するニッケルチタン合金を使用して、弱い持続的な力をかけて歯列のレベリングを行なっていきます。
使用方法・適応症
マルチブラケット装置は基本的に永久歯に装着し、どんな症例にも対応可能です。小児の矯正治療(初期治療・一期治療)でも部分的に用いて前歯のみの排列などを行います。
ブラケットでの治療はどんな難症例にも対応でき、ホワイトワイヤーや審美ブラケットによって審美性も向上しています。矯正治療はほとんどの方によって一生に一度の治療です、2、3年の我慢(歯磨きや、多少の痛み)で、老齢期をむかえても歯のことで悩まず、自身のあるスマイルで人と接し、どんなものでもしっかり咀嚼することも可能です。責任ある歯科医師に、的確な診断で適切な矯正治療を受けられることを願っております。
監修
おとなとこどもの歯並び
中山矯正歯科・小児歯科 西大寺 院長
中山 雄司(なかやま ゆうじ)
経歴
- 2012年3月
大阪歯科大学卒業 - 2018年3月
大阪歯科大学大学院歯学研究科博士課程終了 - 2019年4月
大阪歯科大学 歯科矯正学講座 助教 - 2021月4月
大阪歯科大学 附属病院矯正科 診療主任 - 2021年12月
日本矯正歯科学会認定医取得
資格・所属学会
- 歯学博士
- 日本矯正歯科学会認定医
- 日本矯正歯科学会
- 近畿東海矯正歯科学会
- 日本舌側矯正歯科学会
- 日本顎変形症学会
- 近畿矯正歯科研究会
- 日本顎関節学会
- 日本歯科医学教育学会