歯科矯正用アンカースクリュー
歯科矯正用アンカースクリュー
矯正治療に併用するチタン製の小さなネジのことで、歯を失った後に埋入するデンタルインプラントとは別のものです。顎の骨に埋め込み、固定源とすることで効率的に歯を動かすことができます。
また今までは難しいとされてきた歯の圧下(顎の骨に歯を押し込んでいく移動)などが比較的容易になり、治療の質も飛躍的に向上しました。少量の部分麻酔を行い、ドライバーを使って埋入します。非常に小さなネジのため、低侵襲で安全に処置ができます。
歯科矯正用アンカースクリューには様々なメリットがあります。私が考える一番のメリットは反作用を受けないことです。
この図のように従来では前歯6本を後ろに動かそうとした場合、後ろの6本の歯を固定源とするため、前歯6本vs後ろの歯6本の引っ張り合いっこになり、反作用(青矢印)が働き後ろの歯の望ましくない前方への移動が生じてしまいます。従来の矯正治療ではこの反作用の力をできるだけキャンセルするために、夜間にヘッドギアという帽子をかぶってもらったり、パラタルバーという付加装置を装着したりしてきました。それでも抜歯したことでできるスペースの3分の1は後ろの歯の前方移動により消費されてしまい、口元が下がりきらなかったり、治療のゴールを妥協したりするジレンマがありました。アンカースクリューを使用することで患者さんの協力度に左右されることなく、全てのスペースを前歯の後方移動に使用することができるようになり、劇的な口元の改善や、治療の質の向上が得らます。
また難しい移動であった歯の圧下(顎の骨に歯を押し込んでいく移動)などが比較的容易になり、開咬やガミースマイルの患者さんの外科治療を回避することができるようになりました。さらに奥歯の遠心移動(後方移動)も容易になり、従来では抜歯矯正の対象であった症例を非抜歯で治療できる可能性が高くなりました。
デメリットは、脱落することがあることです。埋入部位によって脱離率は変わりますが、成功率は8割〜9割です。骨質やお口の衛生状態によって、ネジが緩んでくることがあり、その場合は部位を変えての再埋入が必要になります(当院では何本埋入しても費用は一律¥50,000です)。
また歯と歯の間に埋入する場合は歯根とバッティングする可能性があるため、精密な検査が必要になります(CT画像を使用)が当院では歯根とのバッテイングの可能性のない部位への埋入を優先しております。
歯科矯正用アンカースクリューの使用により、口元や歯並びの劇的な改善ができ、口元と顔面の審美的・機能的な調和を図ることが可能になりました。特に舌側矯正の際には欠かせないもので、様々な症例の治療をアンカースクリューの併用により、舌側矯正でも可能としてくれています。近年ではマウスピース型矯正装置による治療の際にも併用し、患者様の負担軽減に貢献しております。
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