こどもの矯正(小児矯正)
こどもの矯正(小児矯正)
矯正歯科医(医院長)と小児歯科医(副医院長)が互いに専門性を生かし、密に連携を取りお子様のかみ合わせを治療していきます。お子様の顎の成長もお口の中の状態も一人ひとり異なります。
小児歯科医と矯正医の密な連携により、適切なタイミングで適切な治療を行うことができます。お子様が矯正治療を継続しやすいよう都度ご相談に応じますので、何でもお気軽にお声がけください。
子どもの歯列矯正は、基本的には「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階に分けて治療をおこないます。乳歯と永久歯が混在している時期に開始する治療をⅠ期治療、永久歯が生え揃ってから開始する治療をⅡ期治療といいます。
顎や歯の成長のある1期治療では歯の移動だけでなく、顎の発達も視野に入れて土台からしっかり整えることが必要になります。お子様の出っ歯、受け口、かみ合わせなど、気になる点がありましたらお気軽にご相談ください。
Ⅰ期治療の目的は上下顎関係の改善に加えて、歯列や顎の成長発育を阻害する因子を取り除くことです。歯並びの最終的な治療は永久歯列が対象となります。永久歯が生え揃うまでの時期は、口腔機能が構築される時期として重要ですので歯並びを揃えるよりも顎骨の成長発育を促進しながら永久歯が正しく生えてくるように誘導し、嚥下、呼吸、発音時の正しい口腔周囲筋機能の構築をめざします。
たとえば「出っ歯」であれば、下顎を前に成長させたり、もしくは上顎の成長を抑制したりする必要があります。「受け口」であれば下顎の成長を抑制したり、上顎の成長を促進させたりすることが必要です。矯正に成長が利用できると上下の顎の不調和を改善できます。
また、歯が異常な方向から生えてくると、歯並びに悪影響を及ぼし、最悪の場合、顎が歪んでしまうことがありますが、早期に発見できれば、悪い歯並びを改善して顎の成長を正常な軌道に戻すことができます。
これらは成長発育中の一期治療の間でしかできません。
乳歯列期では矯正装置の使用にも限界があります。
当院では乳歯列期の矯正は早急な治療が必要な症例のみを慎重に判断して開始します。
乳歯列期における治療対象は①歯の異常と②上下の顎の関係の異常に分けられます。その中でも乳歯列期に早期に治療が必要なものとして反対咬合(受け口)や交叉咬合、口腔習癖が原因の開咬、などが挙げられます。それらの乳歯列期の症例に対して当院では小さいお子様が嫌がる必要のないムーシールドやプレオルソを使用して治療にあたります。
混合歯列期(乳歯から永久歯に生え変わる時期)は顎の成長が旺盛で、永久歯の萌出に伴い種々の不正咬合が徐々に発現してくる時期です。混合歯列期(一期治療)の主な治療目的は、上下の顎の関係の改善に加えて、歯や顎の成長を阻害する因子を取り除くことです。
また、永久歯列期に歯を抜いて治療する必要がなくなるように、可能であれば非抜歯治療の可能性を模索する時期でもあります。大学病院でたくさんの症例に携わった経験を活かして適切な治療のタイミンングをご提案いたしますので、気軽にご相談ください。また、お子様の精神面・健康面の両方を考えたときに矯正歯科治療がマイナスにはたらくようなことはあってはならないと考えています。当院では治療の必要性が理解できないお子様の開始時期は慎重に判断いたします。
上顎の前歯が前に傾斜していたり、突き出ていたりする状態で、一般的に「出っ歯」と呼ばれています。
下顎が上顎よりも前に突き出ている状態で、横顔がしゃくれたように見えます。かみ合わせが反対になるので「反対咬合」、あるいは「受け口」とも呼ばれています。
上下の歯が前に突き出ている状態で、顎の骨に問題がある場合と、歯だけが前に出ている場合とがあります。うまく噛むことができず、見た目も良くありません。唇を自然に閉じていられない場合もあります。
歯並びがでこぼこな乱ぐい歯、犬歯が前に突き出た八重歯などをいいます。顎が小さいと歯が生える十分なスペースがないため、歯と歯が重なり合って、叢生が生じると考えられています。
口を閉じてもすき間ができ、上下の歯がきちんとかみ合わない状態です。前歯で食べ物をうまく噛み切ることができないだけでなく、正しく発音ができなかったり、咀嚼(そしゃく)がうまくできなかったりすることもあります。
上の歯が下の歯に深く被ってしまっている状態です。このため顔が短く見えることがあります。上下の歯が過剰に接触し、歯を傷つけてしまうこともあります。
部分的に上下の歯のかみ合わせが反対になっている状態です。顎の偏位を誘発する恐れがあります。また、顎の関節に悪影響を及ぼし、顎関節症を引き起こすこともあります。
正常な時期を過ぎても歯冠が顎骨内に留まり萌出しない歯。隣在歯の歯根吸収を引き起こす可能性もあり注意が必要。
歯並びやかみ合わせが悪くなる原因として、指しゃぶり、口呼吸、舌の癖、頬杖などの習慣(癖)が関与していることがあります。お子様が4歳くらいになったら、以下の項目をチェックしてみてください。もし当てはまるものがあれば、小児矯正を検討したほうが良い可能性があります。
上下の顎のバランスや歯並びが整い、コンプレックスが解消され自信が持てます
顎骨の成長期に上下の顎の成長をコントロールすることで、土台のズレを改善することができ、結果的に理想的な位置に歯を誘導することができます。
非抜歯での治療の可能性が高くなります
大人の矯正治療(二期治療)では、歯をきれいに並べるスペースと前歯を後退させるスペースを確保するために抜歯が必要となる症例がほとんどです。成長期から治療を開始することで、歯を並べるためのスペースを有効に活用することや、スペースを作ることができるため、二期治療での選択肢が増えます。
虫歯や歯肉炎の予防につながります
歯並びが悪いと歯が磨きにくく、食べかすなどの汚れがたまり、虫歯や歯肉炎のリスクを高めてしまいます。歯並びを整えることで歯が磨きやすくなることはもちろん、お口の自浄作用が働きやすくなり虫歯や歯肉炎の予防につながります。
比較的簡単な装置での矯正治療が可能です
小児矯正では、基本的に取り外し可能な簡単な装置での治療になります。また、そのままにしておくと骨格に異常が出てきてしまうような症例では、大人になってからの矯正で、顎の骨切りなどの手術が伴うことがあります。子どものうちに矯正治療を開始することで、そのような手術の可能性を低くすることができます。
仕上げのⅡ期治療をスムーズに進めることができ、高い治療結果を得ることができる
こどもの矯正を先行しておくことで、マルチブラケット装置やマウスピース型矯正治療を使用した仕上げの二期治療がよりスームーズに進めることができます。また歯を動かしても成長期であればスムーズに生体と順応してくれるため、比較的お子様に負担をかけずに、高い治療結果が出せる可能性があります。
治療が長期になります
一番のデメリットは治療が長期になることです。受け口であれば早くて4、5歳からの開始になります。その場合、治療がすむまで10年以上かかる可能性もあります。治療が長期になると、その分、毎月の処置料などもかかってきます。
虫歯のリスクが高まることがあります
装着する矯正装置によっては食べ物が装置のすき間に挟まりやすくなり、虫歯のリスクが高まることがあります。ただし、毎月通院していただくことになりますし、当院では、小児歯科の定期検診の際にもフッ素塗布や虫歯のチェック、歯ブラシの指導なども行います。それによって徹底的に虫歯の予防を行います。
癖や習慣の改善と筋機能の訓練
小児矯正では、歯並びや顎の成長に悪影響を与える癖や姿勢、食習慣などの改善も行います。また、口周囲の筋肉の訓練を行うことで、筋肉や骨格の健全な発育を促します。この筋機能の訓練は、矯正治療が終わった後の「後戻り」を防ぐ効果も期待できます
装置を使っての矯正治療
歯並び、かみ合わせ、骨格の状態を細かくチェックし、お子様に合わせた装置を用いて矯正治療を行います。小児矯正の矯正装置には、「乳歯列用のムーシールドやプレオルソ」「可撤式矯正装置(取り外し式装置)」、「固定式矯正装置」、「顎外固定装置」、「マウスピース型矯正装置」があります。
ムーシールド
舌と唇のバランスが悪く、受け口になってしまった3~5歳のお子様に使用します。マウスピース型の装置を就寝時に着用していただきます。
プレオルソ
機能的マウスピース矯正装置のプレオルソは適切にお口の成長を促し、歯が生えてくる土台を作るための装置です。すべての症例に対応している訳ではなく、奥歯のかみ合わせのズレが大きい場合や骨格的な問題が強い場合は、効果が少ないこともあります。また重度の鼻閉がある場合はマウスピースの装着自体が息苦しく困難になります。
取り外し可能で衛生的ですが、使用方法や使用時間を守ってくれないと効果が発揮されません。
床拡大装置(床矯正装置)
プラスチックの床(しょう)を固定源にして、少しずつ歯を動かしたり歯列を拡大したりすることで、歯並びやかみ合わせを整えていきます。装置中央にあるネジを回すことによって歯列の横幅が広がります。歯の生え変わりの時期は、歯列を拡大しやすく、将来の歯のガタガタを予防できる可能性がある装置です。
バイオネーター、ツインブロック
バイオネーターは、下顎を前方に成長させて歯並びやかみ合わせを整える装置です。出っ歯の症例に使用することが多いですが、出っ歯であれば必ず使用するというものではありません。主に下顎の成長が悪い症例が適応となります。
タングクリブ
舌を前に出す癖(舌癖)があると、舌で前歯を押してしまい前歯がかみ合わなくなることがあります。これを開咬(かいこう)といいますが、タングクリブはそのような症例に用いられる装置です。
固定式矯正装置は、お子様の意思にかかわらず常に装着されていますので、可撤式矯正装置(取り外し式矯正装置)と比べて効果が出やすい特徴があります。
クワドヘリックス
歯列の横幅を広げるワイヤーを使った装置で、可撤式矯正装置の床拡大装置と役割は同じです。
急速拡大装置
上顎の骨を土台ごと横に拡大して、上顎骨自体の横幅を広げる装置です。上顎の真ん中には正中口蓋縫合といわれる骨の接合部があり、装置中央にあるネジを回し装置を拡げていくことでその縫合部が開いてきます。クワドヘリックスや床拡大床装置と異なり、骨ごと広げることが可能です。上顎骨の幅が小さいお子様が対象になります。
リンガルアーチ(舌側弧線装置)
リンガルアーチは太い針金に細い針金(弾線)が付いており、この弾線を調整して歯を動かします。色々な使い方がありますが、主に歯を前に出すときに使用します。受け口の症例に使用することが多い装置です。また保隙装置(永久歯が生えてくる隙間をキープする装置)としても使用します。
マルチブラケット装置
永久前歯のみブラケットを装着し、排列することがあります。
上顎前方牽引装置
上顎骨の前方成長を促進する装置で、上顎骨の成長が悪い受け口の症例に使用します。
ヘッドギア装置
頭に装着するヘッドキャップと口の中に装着する金具(フェイスボウ)を組み合わせた矯正装置です。主に上顎の過成長が原因で、出っ歯になっている症例に使用します。上顎の成長抑制のほかに、上顎大臼歯を後方に移動させて上顎前歯を後退させるためのスペースを作る目的でも使用します。患者様の年齢によって使用目的が異なる装置です。
チンキャップ
チンキャップは下顎の成長を抑制する装置です。顎に装着するチンキャップ、頭に装着するヘッドキャップ、それらをつなぐゴムバンドから構成されています。ゴムバンドの調整や交換によって、チンキャップ部分にヘッドキャップの方向から引っ張る力をかけ、下顎の成長を抑制します。下顎の過成長が原因で、受け口になっている症例に使用します。
小児矯正では様々な種類の装置を使用します。しっかりと適切な診断を行い、その診断に基づいた装置を適切に選択することが重要です。
インビザライン・ファースト矯正は、成長過程にある患者様のための、マウスピース型矯正装置です。独自技術の研究や改良が続けられているインビザライン・ファースト矯正を当院では積極的に取り入れています。
1
初診カウンセリング(15分〜20分)
患者様(保護者)の主訴や不安に思われていることを伺います。
2
精密検査(約60分)
お顔や、口腔内の写真撮影、レントゲン撮影、歯型採りなど、治療計画を立てるために必要な検査を行います。
3
検査結果、治療計画の説明(約30分)
検査の結果をもとにたてた治療計画をご提案いたします。治療内容や時期、使用装置など、患者様それぞれに合わせた内容をお話ししていきます。
必要があれば説明の後に矯正装置のための印象採得(型とり)もしくは、口腔内スキャナによる光学印象採得を行います(印象採得が必要のない装置もあります)。
4
矯正治療開始
出来上がった矯正装置を装着し、治療をスタートしていきます。
Ⅰ期治療の治療期間を通してだけで終了、1つの装置その患者様に必要な装置を使用していきます。
5
装置終了
Ⅰ期治療での治療目標が達成されると、12歳臼歯が萌出して全ての永久歯の萌出が完了するまでの間、経過観察になります。
6
その後
の2つのパターンがあります。
大学病院でたくさんの小児矯正の患者様を担当させていただいた経験を生かし、小児歯科医の副医院長と一緒に、責任を持ってお子様の、歯ならびをみていきたいと思います。
何でもお気軽にご相談ください。
PAGE TOP