不正咬合の原因②(後天的原因:歯の萌出異常)
先天的原因:出生前から存在する原因
後天的原因:出生後に現れてくる原因
前回は不正咬合のうち、先天的原因(出生前から存在する原因)について勉強したので、今回は後天的原因(出生後に現れてくる原因)のうち、歯の萌出異常について勉強をしていきます。
歯の萌出異常
歯の萌出異常は永久歯への交換期に発現しやすくなります。特に側方歯(3・4・5番目の歯)の
歯胚の位置異常
歯胚の位置異常は図のように歯胚(歯の芽)の位置が本来の場所と異なるところで発育することがあります。
※図は犬歯(3番目の歯)の位置異常、放っておくと側切歯(2番目の歯)の歯根吸収の危険性がある
乳歯の早期喪失による萌出スペースの不足
図の患者さんは上あごの左の5番目の乳歯が早期に脱落したことによって後方歯の6番目の歯の前方への転位が起こってしまい、5番目の永久歯の萌出スペースがなくなっています。※乳歯の早期脱落は永久歯の萌出遅延や異所放出、埋伏などを招きます、早めに矯正歯科へ相談をお勧めします
嚢胞製疾患や歯牙腫による放出障害
嚢胞製疾患(膿袋)や歯牙腫(良性腫瘍)などの存在は、歯の萌出の妨げになり、萌出障害を引き起こします
図は上顎左右側犬歯部の嚢胞により萌出異常を来している症例、外科処置にて嚢胞の除去と牽引が必要
萌出位置の異常
・前歯部:萌出余地が不足している場合側切歯(2番目の歯)が舌側から萌出していくことがある
・側方歯部:側方歯群(3・4・5番目の歯)の萌出異常は萌出順序に関係する
上顎の側方歯の萌出順序は一般的に4→5→3のため最後の3番目の犬歯が萌出するときには萌出余地がなく、八重歯になってしまう
・大臼歯部
最後に萌出してくる7番目の12歳臼歯が萌出するときには萌出余地が残っておらず、萌出してこないことが多い
特に下顎の12臼歯は前方に傾斜しながら萌出してきて最終的に真っ直ぐ起きてくる萌出経路を取るため、萌出余地不足と合わさって前方の6歳臼歯に引っかかってしまうことがある
異常のように歯の萌出異常の原因は様々です。しっかりと原因を見極めるために精密な検査や適切な診断が必要になります。