リップバンパー
本日は下顎に使用する機能的矯正装置であるリップバンパーについて勉強します。
基本構成
下顎大臼歯の維持用バンドに装着されたチューブと、唇側弧線、バンパーから構成されます。
作用機序
口唇の過度な機能圧を排除することにより前歯を唇側傾斜させることによって歯列弓長径を増加させることが可能であり(叢生の改善)、また口唇圧を利用して大臼歯の遠心移動や近心移動の防止を目的として使用することも可能です。
使用方法・適応症
基本的には患者さんが自分でチューブに装着して使用します。唇側弧線のループ部分に結紮線でくくったりすることで患者さん自身では取り外せない固定式の装置として使用することもできます。
適応症は①口唇の過度な機能圧によって下顎前歯が舌側傾斜して叢生(ガタガタ)を呈している症例②下顎の大臼歯が近心(前方)に転位したり傾斜している症例③下顎の固定の強化④下唇の吸唇癖や咬唇癖などの習癖の患者さん等に使用します。
唇の機能圧を排除したり、逆に利用することで歯の移動を行う代表的な機能的矯正装置です。しっかり使用してもらうと近心に倒れている大臼歯が起き上がったり遠心に移動することのできる装置ですが、やりすぎると後方の12歳臼歯が萌出してこないため注意が必要です。またバンパーの設計を間違えると効果が得られない装置です。
監修
おとなとこどもの歯並び
中山矯正歯科・小児歯科 西大寺 院長
中山 雄司(なかやま ゆうじ)
経歴
- 2012年3月
大阪歯科大学卒業 - 2018年3月
大阪歯科大学大学院歯学研究科博士課程終了 - 2019年4月
大阪歯科大学 歯科矯正学講座 助教 - 2021月4月
大阪歯科大学 附属病院矯正科 診療主任 - 2021年12月
日本矯正歯科学会認定医取得
資格・所属学会
- 歯学博士
- 日本矯正歯科学会認定医
- 日本矯正歯科学会
- 近畿東海矯正歯科学会
- 日本舌側矯正歯科学会
- 日本顎変形症学会
- 近畿矯正歯科研究会
- 日本顎関節学会
- 日本歯科医学教育学会